歩いて

「おい、こんな人前でいちゃつくな」



私と勇太に割って入る声。




快斗。




「何?嫉妬?
それよりこんな大事な日に遅れてくるってどういうこと?」




私は、快斗をにらみつけた。




「俺だって大事な仕事を抜けてきてるんだ。来てやったことに感謝するんだな」




憎たらしい言い方。




「人の幸せを喜べないって、本当にかわいそうな人」



「はー」



「果菜」


勇太があきれた顔をする。



「ウエディングドレスがかわいそうだよ。果菜なんかに着られて」



「快斗なんて、一生結婚できないよ。絶対」




私は、力強く言った。




まわりにいたみんな呆れ顔で、私達を見ていた。




こんな風に、また笑いあえる日がくるとは思わなかった。




春の陽気が私達を包む。




由亜もきっと、どこかで見てくれているよね。




私は、空を仰ぐ。