「…由亜、快斗のこと連れて行かないで。
…もう、快斗のことを解放してあげて。
…十分、由亜のこと守ってきてくれたんだから。
これからは、快斗の人生を歩ませてあげて。
もう、誰も誰のことも責めない。
それぞれの人生を歩いていく。
…由亜ならわかってくれるよね。
私達は、これからも親友なんだから」




絞り出す声。





私は、そのまま直斗に病室の外に連れ出された。





医師と看護師が病室に慌てて入っていった。





私は、力が抜け、廊下に座り込む。





直斗は、ずっと私の背中をさすってくれていた。





その手がとても温かかったのを覚えている。







真っ暗な病棟が私達を包み込む。