歩いて

あの時も、みんな泣いていた。




泣き崩れ、嗚咽をもらす。





絶望を味わう。




快斗も、みんなにそんな思いをさせるの?





快斗の母親は、魂が抜かれたように、ただ立っている。




快斗の父親は、こぶしを握っていた。




直斗は、茫然としている。





みんな、何を考えてるの?





快斗は、生きている。







私は、病室の前に立つ。




その時、医師が病室から出てきた。




直斗たちは、食い入るように医師を見る。





医師が、いまの状態を説明している。





私は、それに構わず、病室に入る。





快斗の苦しそうな顔。




もう、意識はない。




呼吸も弱い。