歩いて

「快斗が、果菜が勤めている病院で治療したいって言ったんだよ。
果菜がいるからとは言わなかったけど。この病院がいいって。
後から考えると、果菜との接点を見つけたかったんだろうな」



「…」



「由亜の死からあいつもすごく悩んでた。果菜のことも心配してたよ。
果菜も自分以上に悩んでるかもしれないって。
だから、あの日、快斗の退院祝いをしたときに、由亜のことはふっきれてるっていったんじゃないかって、今そう思う。快斗なりに果菜を楽にしてあげたかったんだよ。
自分のことは、後回しにして」



「…」



快斗…。




私は、何も気づいてあげれなかった。




快斗の気持ち。




快斗のおかげで私は、一歩進むことができたのに…。




自分だけ幸せになろうとした…。




快斗、私は一体あなたに何をしてあげれる?




快斗…。