歩いて

「俺もそう思うけど、毎日よくならないばかりか、悪くなっている快斗をそばで見ていると、そういう気にもなるよ」


直斗の本心。




いつも、冷静だった直斗の弱音。




「…」



私は、もう何も言うことができなかった。




辛いのは家族。




家族にしかわからないことがある。




私は、肩を落とす直斗をみることしかできなかった。




「…果菜、快斗となんかあった?」



突然、直斗が聞いた。




「なんかって…」




私は、快斗に告白されたことを思い出した。





でも、直斗にそのことを言うべきか…。




快斗は知られたくないことかもしれない。





「…快斗の気持ち。…果菜に対する気持ち」




「…」




私は、直斗の顔を見る。




直斗は知ってたの?




「やっぱり告白されたんだ」



「…」




私はうなづく。




快斗は直斗に言ってたの?




「果菜に彼氏がいること言った?」



「うん」




「そっかー、ちゃんと告白したんだ…。
よかった」



えっ?




「…直斗は知ってたの?」



「なんとなく。快斗は気づかれてないって思ってるみたいだけど、わかるよ。
もしかして果菜は気づいてなかった?」



「うん…」



「果菜は、いつも由亜のことしか見てなかったもんなー。
いつか、果菜から快斗のこと好きって聞かされた時、このこと話そうと思ったけど、由亜のことがあったし、快斗から聞いたわけじゃないからなにも言わなかった。
あの時、お前達がつきあうことになってたら、なんか変わってただろうなー」



私は、驚いていた。




快斗に聞かないとわからないことだけど…、もし、そうなら…、




でも、由亜のことを裏切って快斗とつきあうことは絶対にない。