歩いて

「…早く元気になって、花火するって言ったでしょ。
もう夏が終わるよ…」



快斗は、少し微笑みながら、うなづく。




「…今度来るときは、ジュース持ってきてあげる。私のおごりで。
…だから、飲めるくらい元気になっててね」



また、快斗はうなづく。



「…そしたら、私帰るね」




「…ありがとう」




「…」




最後は言葉がつまって出なかった。




私は、そのまま病室を出る。




外に出ると、快斗の母親がいた。




「…果菜ちゃん、ありがとう」



「…」



私は、会釈をして病棟を出た。







あんなの快斗らしくない。





私の頭の中に、由亜の入院姿が浮かぶ。




「…」



由亜と快斗は同じじゃない。