歩いて

「果菜」



すれ違う人に声をかけられる。



見上げると、直斗がいた。




「…直斗」



「おしゃれしてどうした」




直斗は、じろじろ私を見ている。




隣の勇太は、私を見ている。



「友達の直斗」


勇太に紹介する。


「初めまして。葉月勇太です」


勇太は、直斗に言う。


「あっ、藤野直斗です」


2人は自己紹介をする。



なんか変な感じ。



勇太と直斗が同じ場所にいる。




「果菜の彼氏?」


「うん」


「一度会ったことあるよね」


「覚えてるの?ゲームセンタであったこと」



だってあれは私が高校生の時。



初めて勇太と会った日。



「やっぱり。
果菜が男といるのを見たのは初めてだったから」


「すごいね、直斗」


「それじゃ、よくわかってるんだ」


きっと由亜のことを言ってる。



「うん」


「それじゃ、大丈夫だな」


「…?」


何が大丈夫なんだろう。



勇太は、不思議そうな顔をしている。



「果菜のことよろしくな。果菜はなんか食べさせたら元気がでるから」



「何それ」


私は笑う。



でも、直斗はいつも私が落ち込んでるとき、悩んでるときにはいつもてりやきバーガーをおごってくれた。




それが、私を何回も救った。




直斗がいたから大丈夫だったこともいっぱいある。




「わかりました」



勇太は、真剣な表情で答えた。