歩いて

店員に通された個室には、もう勇太の両親は着いていた。




私が、部屋に入ると勇太の両親は立ち上がり、こっちを見ていた。




「はじめまして。春川果菜と申します。よろしくお願いします」



心臓がバクバクいってる。




こんな経験のしたことのない緊張に、私の頭はもう真っ白になっている。






何を食べたのか、何を話したのかわからないまま食事が終わった。






「果菜、大丈夫?」



勇太の両親と別れ、勇太とふたり歩く。



「うん。でも、きっと変な子だって思われてるだろうなー」



本当に恥ずかしい。



会話もぎこちなかったはず。



こんな大事なことをちゃんとできない自分に腹が立つ。



「大丈夫。俺の両親も緊張してたから。俺が見てておもしろかった」


「もー」


勇太は笑っていた。




もうすぐ私は、この人とと家族になる。




ずっとこの笑顔を見られる。




私は、穏やかな気持ちになっていた。