歩いて

私と快斗は、何も話さず砂浜に立っていた。



少し寒くなってきた。



快斗は?



「車に入ろう、風邪ひいちゃうよ」


「そうだな」


快斗と車に戻る。


助手席に座り、快斗を見る。



高校生の頃に比べて、姿は大人になった感じがする。



快斗は、私の視線に気づきこっちを見る。



私は、ドキッとする。



なんでこんなにドキドキするんだろう。



「何?」


「うん。車の免許とったんだね」


適当に思いついたことを言った。



「とりあえずね。車は直斗のだけど」


「そうなんだ」



あー、びっくりした。



「…果菜のつきあってる人って、直斗じゃないよね」





なんで直斗がここででてくるの。


「違うよ。
快斗の知らない人」


「そうなんだ。
俺、ずっと果菜は直斗のこと好きなんだと思ってた」


「え?
直斗は、お兄さんみたいな存在。でも、なんでそう思ったの?」


「いつも一緒にいたから」


「そうかな?」


「そうだよ、だから怪しいって思ってた」


「そうなんだ、全然そんなことないのに」


私は、おかしくて笑っていた。