もうすぐ夏が終わる。



夕方になると少し肌寒さを感じる。




日勤の仕事が終わり、バス停へ向かう。




大通りを歩いていると、車道の方から、


「果菜」






声の方を見ると、そこに車に乗った快斗が見えた。



「…快斗」


「乗って」


「えっ?」


「早く」


「うん」


私は、快斗に促されるまま、後部座席のドアを開け車に乗った。



快斗は、そのまま車を発車させた。



「どうしたの?ていうか、何?」


私は、運転する快斗に話しかける。



「ドライブ行こうよ」


「?そんな、突然。急に来られたら驚くでしょ」


「きっと誘っても果菜は断るだろ?」


「…」


図星。



あんなことがあったら誰だって会いづらい。



「でも、なんできょうが日勤だってわかったの?」


「勘」


「えっ?」


「嘘。
今日、診察の日で果菜の病棟覘いた」


快斗ってこんな人だった?



本当にわからない。



やっぱりあの告白も冗談っぽい。



「どこに行くの?」



「海」


「今から?」


「いいの」


こんな強引な快斗、初めて見た。



車は、走る。