歩いて

その時バスが着いた。



バスの扉が開く。



「…私…」



どう言ったらいいのかわからなかった。




快斗の目をじっと見ていた。




私は、そのまま何も言わず、バスに乗った。




バスは発車する。









「…」



さっきのってなんだったの?




快斗がなにを考えているのかわからない。




冗談?




からかったの?




快斗が私のことを好きなはずない。




会わなかったこの数年で、快斗のことがよくわからなくなった。




私の心が平静を保てなくなっているのがわかった。




バスは、夜の街を走る。



私は、窓から流れるその風景を見ていた。