歩いて

快斗と二人の夜道。




こうして2人で歩くのは久しぶり。




あたりも静かだった。




ゆっくり何も話さず2人で歩く。




さっきのこともあり気まずいのもある。




バス停までの道のりがとても長く感じる。




「…さっきはごめんな。
なんか、自分でもセーブできなくなって」



突然、勇太は話し出す。



落ち着いた話し方。



「…ううん」



「でも、言ったことは本当に思ったことだから」



「うん」



「この病気になって、色々考えた。
由亜のこと。家族のこと。自分自身のこと。
…由亜がよく言っていたことを思い出したんだ。
後悔はしたくないって」



由亜が…?




「誰だった一度きりの人生だからそう思っている。
でも、由亜は自分の人生が人よりは短いかもしれない。人より制限がついた人生を送らないといけないから、毎日を大事にしていた。
それを思い出して、俺は自分で人生を歩き出そうって思った」



「…」



由亜はそう思っていたんだ。



私なんか考えてるより、毎日を楽しもうって。



「果菜とこうしてまた会えたのも、俺にとってはとても重要な意味を持ってる」



「…?」



バス停に着いた。



「俺は、果菜のことがずっと好きだった」



「…」


何?



快斗をみるとじっと私を見ていた。



まっすぐな瞳。