歩いて

私は、大きく息を吐く。



「…私は、とても卑怯なの。
由亜が死んだのも私のせい。それなのに、私だけ幸せになんかなれない…。
でも、勇太がいなくなるのはとても怖い。
…自分だけ、ほしいもの手に入れたらだめなのにね…。
…由亜は、何も手に入れなかったのに…」




「…由亜さんは何も手に入れなかったのかなー。
由亜さんは、果菜や快斗さん、直斗さんみたいな親友がいるじゃないか。
…亡くなってもずっと思い続けてくれる親友がいるじゃないか」



「…」




私が、親友?




由亜を苦しめたのに…。





由亜を裏切ったのに…。





私は、由亜の親友なんかじゃない。





由亜はきっと恨んでる。





「…違うよ」




「えっ?」




「違うよ。
私は、由亜の親友なんかじゃない。
親友だったら、由亜は苦しまなかった。…由亜は死んだりなんか…」






言い終わらないうちに、勇太は私をグッと抱きしめた。