歩いて

私は、勇太にメールを送りそのまま家を出た。




駅前の公園。




もう、あたりも暗くなってきた。




しばらくすると、勇太の走る姿が見えた。




「…」



ドキドキする。




「果菜」



勇太は息を切らし、大粒の汗が額ににじんでいる。




「やっぱりメール見てない。
俺、仕事中だったから終わったら電話するっていれたのに、返事ないから」



少し困った顔。




考えればわかることだよね、平日の19時前。




自分の感情だけで、勇太のこと呼び出してしまった。




スーツ姿の勇太は、呆れた顔を見せる。




「ごめん」




勇太は、笑顔を見せ、




「いいよ。
果菜がこんな無茶なことしたのって初めてだから新鮮」




「…」




勇太とベンチに座る。




公園に何人か子どもが遊んでいたけど、暗くなるにつれ子どもはいなくなった。






少しの沈黙が続く。




隣に座る勇太のことを、いつもになく意識する。




勇太は、汗をハンカチで拭っている。




勇太といてこんな緊張は、久しぶりだった。