歩いて

「果菜、今大丈夫?」


「うん」


「あのさ…、すごく言いにくいんだけど…、お願いがあるんだけど」



なんか、いつもと違う様子。



「うん」


「嫌だったら、断ってくれたらいいから」


まわりくどい言い方。



「うん」


「今度、俺の母親に会ってほしいんだけど…」


「…」


えっ?


「ごめん。まだそんな気分になれないよな。
無理だって断っておくから。ごめんな、変な話しして」


「違う。突然で驚いただけ。
いつかは、ちゃんと会いたいって思ってたの」


「そしたら、いいのか?」


「うん。でも…」


「わかってる。結婚はまだ決まってないことはちゃんと言っておくから」


「…うん」


「ありがとう。
果菜にすごく会いたがってて、紹介しろってうるさくて。
ありがとう」


勇太の声が本当に嬉しそうだった。




勇太のお母さんに会うなんて…。




なんか、もう緊張してきた。