歩いて

夜勤に入る前、夜食を買い忘れ病院の売店へ行った。




売店には、同じように売店で買い物する看護師の姿と、患者さんが数人いた。




「果菜?久しぶり」



レジに並んでる私に声をかける看護師。



「…」



誰だっけ。



「看護学校が一緒だった重田遥」



「…遥?」



重田遥は実習のグループが一緒だったからよく覚えてる。



そのはずなんだけど。



「わからなかった?二重にしたからかなー」



「…」



「びっくりした?」



びっくりした。



だった、遥は学生の頃はいつもすっぴんで、おしゃれなんかに興味なんかなかった子。



今私の目の前にいるのは、どうみても完璧メイクのお姉さん。



私の知っている遥とはまったく別のタイプ。



それに、この病院に就職してないと思うんだけど。



二重にして、メイクをするだけで別人になるんだ。



私は、感心をしていた。




「前にいた病院やめて、春からここに就職したの。
果菜、そういえばこの病院に就職したもんね。嬉しい。同じ看護学校出身の人っていなかったから」



笑うとなんとなく学生の頃の面影を見せる。