「じゃそろそろ帰るわ」

南くんは窓から離れて少し影のかかったドアに手をやった

「またね」

私は精一杯の笑顔でいった

本当はもっと喋ってみたかったけど

そんなの迷惑だしね

急いでるかもしれないし

「また」

「うん」

そして南くんは教室から出て行った

「はー…」

それにしても綺麗だったなぁ

あの夕日もそうだけど

その光に当たる南くんも

なんであんなかっこいい人知らなかったんだろ

本当私って馬鹿

早く南くんのこと知っておきたかったな

また会えるといいな

私はもう黒くなってきた空をみながら

そう思った

この気持ちに名前がつくことなんて

私はこの時思いもしなかった