Tricksters



「李花が無事か確認したら俺も行くからな!」

スマートな後ろ姿は、ビルに消えていく。




ベンツを空いている駐車場に適当に突っ込んだ。


それから、まず携帯を出して李花に電話する。


何回かけても話し中のノイズ。


まさか着信拒否とかしてないよな?




ってか、李花

俺の事ぜんぜん信用してないのな?

あんな事で、ここまで怒ることないだろ?


所長を信じるなら、風俗行きは回避されたのこもしれない。

あの所長も、そこまで人でなしじゃないよな?



「もう、知らねーぞ?」



繋がらない携帯を畳むと、車を降りて所長を探す。


背の高いスマートな後ろ姿は、すでに自動ドアの奥へと消えていた。