「話ってなんだよ……
くだらなかったら怒るぞ?」


少し声が裏返る。

みっともねーな、それなりに体力と腕力には自信があっても

こんな恐怖心感じたのは、生まれて初めてだ。


「俺を、どうするつもりだ?」


所長は、冷酷な表情のままフンと鼻で笑った。

死刑を宣告された気分になる。

生存の見込み無しかよ。



「別に、淳一くんをどうするか後で決めればいい。

問題は、淳一くんが我々トリックスターズの販売推進部の一員として

俺の指示に忠実に従い
奴隷の様に働いてくれるかどうかだ」


「も……もし断ったら?」


所長は、俺から視線をそらして口元を手で覆った。


「闇金の手口は、卑劣でしつこいのが特徴だ。

例え話だが、たった七万を借りて返済金は十五万だと強要する。

十五万を期日に返済するが、また一週間後に連絡があり『返済期日の待ち合わせ時間に十分遅刻しただろ?』と、いちゃもんつけてくる」