これが、Trickstersで学んだやり方だ。
「昨日は、どうもありがとう。
あなたが助けてくれたのよね?
必死さが伝わってきて、心強かった」
愛人さんが俺の手を握る。
「私、今日で引っ越すの。一緒に助けてくれた人たちにも、お礼を言っといてくれる? とても素敵な人だったわ」
「はい」
「この子、あなたの彼女?」
「は……はい」
「そう、お幸せに」
愛人さんが、スリップドレスを翻すと
李花の父親は顔をひきつらせた。
「李花、パパはあの人と仕事の話がある。誤解しないでくれよ? この隣の部屋は銀行の保養所になっていて駅前支店長とかも来ているんだ。
パパは、仕事だから」
「じゃあ、李花
じゅんちゃんの部屋にいる!」
「それとこれとは……」
「駅前支店長……って、佐野支店長ですよね。俺、挨拶したいです。先日の件で失礼なことを言っちゃって」
「さっ……佐野くんは、今手が離せないはずだよ……」
声が裏返りすぎだってば
李花にバレんだろ?
俺は、ニヤリと笑う。
「よろしくお伝えください。
Tricksters“所長代理”の真部です」
頭取が押し黙ると、李花は俺の部屋
505号室に入りバタンとドアを閉め
それに続いて、愛人さんも506号室に消えた。
あとは、もう俺の責任じゃない。
「お父さんには、改めてご挨拶に伺います」


