呆然とする俺にユカリさんが説明してくれた。
珍しく黒いワンピースを着ている。

まるで一目を憚るみたいに……


「つまりね。淳一くんには内緒で、ゼンが最初にケースを手にした時に、用意しておいた偽物とすり替えたの。

淳一くんが掴んだのは、偽物よ。
本物は私と通路で待機、停電が復旧したと同時にここ505号室に入れてもらったのよ。

李花ちゃん、いい子ね。
すぐに入れてくれて、ピザを食べながらガールズトークしてたのよ。ふふふ楽しかった!」


結局、人数と作戦勝ちってわけか


「佐藤さんは?」

「今、配線繋いで証拠隠滅しているはずよ。終わったらすぐに、この部屋に来るわ」


勝手に集合場所になってるし、佐藤さんすげーし。
わけがわかんねーし。

頭が、オーバーヒートしそう。


「それにしても、所長。タカシくんに顔見せちゃってよかったんですか?」


「ああ、いいんだよ。これでアイツらの組織も、本気で俺を潰しに来るんじゃないか?」


「所長……また、そうやって調子のるんだから。
刺されても知りませんからね!」


「ユカリが、悲しむから気をつけるよ」