アイツは肩をすくめて後ろにいた二人に振り返る。

「よろしいのですか?」と聞かれて
「しょうがないだろ。淳一は、選ばなかった」と答えた。


自分の無力さに絶望した。


俺がもう少し頭が良ければ、アイツともっと一緒にいられたかもしれない。


ケースは、武尊之オッサンたちが持ち。
社長とタカシくんがそれを助けた。

二十億が運びだされても、どうでもいい……と心が空っぽになる。



アイツは、俺から何かを奪った。


それは二十億なんかで買えるものじゃない……

もっと大切で貴重なものだ。




詐欺師ZENは、全てを奪うか……

よく言ったものだな。本当にそう思うよ。