「お客様! 焼きたてのピザージャのピザですよ!
本日は、新月の夜キャンペーンですよー!」
必死に声を出すと、ガチャリと扉が開く。
くたびれたオッサンが出てきた。
コイツは、武尊之銀行頭取じゃない。
「ピザの注文はしていないようだ。どこか別の部屋と間違えていないか?」
「いえ、五階の506号室。ここですよね?
受け取っていただけないと、俺も困るんですけど……」
扉に足を入れて、ピザを差し出した。
「悪戯だったら警察に連絡しますよ? 店長にそうしろって言われてますから!」
ドアを押さえたまま、携帯を取り出そうとポケットに手を入れた。
「オイ! それは困る!」
あっやべぇー
携帯部屋に置いてきちまった……
やっぱ俺って詐欺師に向いてね……


