エレベーターはゆっくり下降していた。
ベルの音が響いて通路は俺一人。
しんと静まる。
『どちら様でしょうか?』
インターホン越しに、男の声が返ってきた。
「宅配ピザお届けにきました! ピザージャです」
俺の部屋にもついてるからわかるけど、このインターホンにはカラー画像のカメラがついている。
ニッと歯を見せて笑うと、部屋の中は揉めてる様子だ。
『誰がピザなんて頼んだんだ』
『頼んでません』
『じゃあ、なんでピザが届く』
男たちの声から、中には三人くらいはいるような気がする。
『帰ってもらえ』
オイ! んなわけにいくか!
聞こえてんだよ!


