こういう場合、なんて返答してやればいいんだ?
お悔やみ申し上げます?
違うな
ってか、その掃除のおばちゃんの旦那さんと尾林さんはどんな関係があるんだ?
「お待たせしましたー」
タカシくんが、新しいモップの柄を持ってきた。
何でか救われた気分だ。
「このモップの柄は、スプリングがきいてますから使いやすいですよー」
「まあ! スプリング!
掃除のおばちゃんも喜ぶわ」
モップの受け渡しが終了
「淳一、ちょっと来い」
尾林さんがいなくなると、タカシくんは手招きして俺を呼ぶ。
それから防犯カメラに手を振った。
「どうせ、アイツが見てんだろ?
俺は顔すら知らねーけどな」
タカシくんは、あっかんべーと舌を出すと右手の中指を突き立てて防犯カメラを挑発した。
「淳一、お前アイツに可愛がられてるみたいだけど
あまりいいことないだろ?」
「可愛がられてなんかねーよ」
タカシくんは、クスクス笑いながらメガネをあげると俺の肩に腕を回した。
「いいか、一度しか言わないからよく聞けよ? アイツは、最低最悪の詐欺師だ。
アイツの手口は、ターゲットの一般人を騙し仲間に引き入れ
巧妙な手口と猿芝居でターゲットをこき使う。
仲間に引き入れたつもりで、重要な情報は掴ませない。
それから、アイツはターゲットを利用して
第二のターゲットから金を奪う。
アイツが狙うのは、億単位の金だけだ。確実な情報を仕入れて、ターゲット同士に奪い合いをやらせて自分は高みの見物だ
覚えておけよ?
お前は、アイツの仲間じゃない。
ターゲットだ」