「あ~!

考えることと、やることが沢山あって
俺って大変~」


突然、所長がワッとカウンターに伏せて
泣きごとを言う。


「泣きたいのは俺の方だ、バカ野郎」


「バカって言うな!
上司に向かって失敬な!」


「うるせーバーカ」


両親ならびに、ばあちゃん
ごめん。

俺は、ワイドショーで自分に手錠かけられて刑事にジャンバーかけられて送検されるうイマジネーションが鮮明に沸いてきた。


俺、一人息子なのに……

悲しむよな……




「ありえない……バカなんて言われたのはじめて」


「っていうか、お前びっくりぱなで儲けてるんだから金なんていらないだろ?」


「だって、俺が盗らなきゃ
他の奴が狙うだろ? ま、他の奴じゃ失敗するだろうけど

悔しいだろ? アイツが手出して、俺が手出さなかったら

後悔で、夜に枕を涙で濡らす事になるかもしれない」



捕まるより、遥かにそっちの方がいいじゃねーか。


「後悔って時にはいいぞ?」



「俺の枕は、ハンガリー製の超高級羽毛でできてるんだ。ハンガリー山間で、早朝に生まれ特別なベイビーちゃんの柔らかい羽毛だけで作った枕なんだよ!

一年に一個しか生産されないんだよ!」



「じゃあ、俺が枕開発してやる。
さっき内藤部長と見てきた手品グッズでいい縄のトリックがあったから

びっくり枕とか言って、朝起きると縄で窒息死してる枕だ」


「淳ちゃん! 酷いっ!
なにそれ! そんな、びっくりいらねーよ!」



「びっくりを世間は求めてんだろ?」