「はは、ゼンさん直球勝負っすね?
俺は新入社員だし、詳しい経営状態なんて雲の上の話でよくわかんないけど

社員の間でも、その噂は話題になってます」


「雲の上? 君は、武尊之の一員だろ
経営に携わることを口出しする権利もあるはずだ」


智はビールジョッキ片手に「そんな簡単なことじゃないですよ」と失笑した。


「でも、上の人からは
『武尊之が倒産することはない。倒産するなら新入社員なんてとらないし、腰掛の女子社員から首切ってるぞ』って嫌味言われて、今日はムカつくからパーッと飲もうぜって話になったんですよ」


「なるほどな。うちも経営危機になったら

まず淳一から首だろうな……」


てめっ!?

「こっちから辞めてやる」

俺の事は無視して


二人は、深刻な顔して汗ばんだビールジョッキに視線を落した。