─────「それは、淳一くんが悪いわ。

武尊之銀行の支店長さんは、もっぷちゃんグッズの開発費の融資の際にとても良くしてくださった方だから」



「すみません。俺、知らなくて」



「いいのよ。それに内藤部長なら上手くやってくれてそうだから」



ユカリさんが、冷たいタオルで俺の顎を冷やす。



「でも、こんな思いっきり殴らなくてもいいのに……淳一くんの顎腫れちゃってるわ」


「大丈夫です。これくらい……」


とユカリさんには、言いつつ


ふざけんな!
手加減しろよな!
あの怪力オカマ!


って、叫びたい気持ち半分。





展示会を一通り見終えて、漸く内藤部長と俺はトリックスターズに戻って来れた。


企画部に戻った内藤部長。

俺は、一先ず販売促進部に戻ったけど

中はガランとしていてパソコンごと佐藤さん以下は消えていた。


脅迫状のことで出てんのか? そう考えた俺は、迷わず隣の所長室のドアを開けた。



そこには、アイツの姿もなくって

ユカリさんが、一人で留守番していた。