Tricksters



「いらねぇーだろ! そんな機能!

モップは、普通のモップでいいんだよ!
びっくりする必要ねーし!」


所長は、棒をモップ変身させてから自分の机を掃除し出した。




「それに世間は、びっくりを求めているんだよ。

俺も、鼻の穴から花が出てきた時は"有り得ないだろ?" って言ってたのに

今や、花は鼻の穴から出てくるのが自然だ」


所長は、パソコンのキーボードも丁寧にモップを往復させる。


「それより、脅迫状が問題だろ! 警察に届けなくていいのかよ!」


モップは、パソコンの大画面を上下する。






「"びっくりぱな"の商標登録は済んでいる。

相手が不等な請求をしてこようと
法律は、それを許さない。


よく考えてみろ。
相手は、俺に"この俺"に対して脅迫状を送ってきた。

見てみろ」


磨かれた画面を指差した。


『親愛なるZEN

フィーチャネス証券から騙し取った十億で、儲かる商売を始めたそうだな?
出資金の一部は、俺のモノだと考えている。

ところで世間を賑わすトリックスターズの所長が詐欺師だと世間に知れ渡り都合が悪いようならば

"びっくりぱな"の売り上げ金半分で手を打とう。
いい連絡を待っているよ』