社長は、ちゃぶ台に手をついて「よいしょ」と言って座る。


佐伯建設の佐伯社長。
年齢は、四十代。

奥さんがいる……

自己破産したからなのか 今日は、ラフなジーパンにティーシャツ姿だ。

いつもはブランド物の高そうな服を着ていた。


「社長、何か飲みますか?」


「淳一、俺はもう社長じゃないよ」



嫌味で言っているわけじゃない。

そういう人じゃない。



社長はニッと笑った。



「財産も全部失った。
かみさんと二人でアパートから再スタートだ。

さっきもバイト探してたんだ。

困るよな~四十になると、仕事もなかなか無いんだよ。ハハッ

淳一は仕事みつかったか?」