……まずい。あれは。あの答案は、どこにいったのだろう。


 荷物を鞄に詰める過程で、私はいつも、プリントファイルの整理をする。中学の時からの習慣。


 そして、何故か見つからないのだ。生物の答案が。


 よりによって、生物が見つからないなんて。どこかに落としていたらどうしよう、あの点数を人に見られたら、流石に恥だ。


 慌てて机の中を探る。見つからない。どこへ行った、私の生物の解答用紙。


 ばたばたと色んなものをひっくり返し始めた私。ふと、隣から声が。



「……藍、ごめん」



 突然謝られても、慌てている私には分からない。一体何があったのか。


 その疑問は、次の瞬間にあっさり解けてしまうものだった。



「昼休み、戻ってきたら机の上に置いてあって。提出してたやつが返却されたのかと思って、中身見ずに机に…」



 そう言う彼の手には、私のものと思われる、生物の解答用紙。…まさか。



「藍だろうとは思ったけど、不安で中身…」


「み、見た……?」



 気まずそうに頷く彼。そう、見ただけで気まずくなるような、そんなレベルの点数なのだ。