さて、じゃあ帰るか。 靴を履きかえた所で、 教室に置いてきたはずの天津に呼び止められた。 「これ、お礼な」 そう言って、缶ジュースを渡される。 俺も礼を言って。 今度こそ、別れたはずだった。 ……途中まで一緒なのは、 あの曲がり角までならおかしくない。 けれど何故か、 そこを過ぎてからも、 天津は俺と一緒に歩いていた。 怪訝に彼を見上げると、 気が付いたのか、彼は答えた。 「朝はさ、迷っちゃって。 本当はこっちなんだ」 そうか。 納得した。