そんなある日の事だった。 「好きなんだ」 天津がそう言った。 誰が好きなんだ、と俺は聞いた。 「志摩が好きなんだ」 楷出 志摩(かいで しま) それは、間違いなく俺の名前だった。 俺の事を好きなのだと、彼は言った。 マジでか。 理由は何だ? 減滅されこそすれ、 好かれる要素を感じられない。 「一目惚れしたんだ」 理由を尋ねるとそう返された。 マジか。