「…お兄ちゃん?
…離れて行かないよね?」
必死に兄にしがみついて話す声が自分
でも震えているのはわかったけど――
とにかくその時は兄が離れていくのを
止めたくて必死だった。
「俺は―…もう限界なんだ。」
「お兄ちゃッッ」
兄に鳩尾を殴られ意識を放した。
「…すまない翠愛。
だけど…翠愛はいつまでも俺の大切で
大好きな妹だ。」
最後に聞いたのは優しくも辛そうな
兄の言葉。
今にも閉じる瞳で見たのは大好きで
大好きで尊敬する兄の笑顔だった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…