「…お兄ちゃん?
…離れて行かないよね?」


必死に兄にしがみついて話す声が自分
でも震えているのはわかったけど――

とにかくその時は兄が離れていくのを
止めたくて必死だった。


「俺は―…もう限界なんだ。」

「お兄ちゃッッ」

兄に鳩尾を殴られ意識を放した。


「…すまない翠愛。
だけど…翠愛はいつまでも俺の大切で
大好きな妹だ。」


最後に聞いたのは優しくも辛そうな
兄の言葉。

今にも閉じる瞳で見たのは大好きで
大好きで尊敬する兄の笑顔だった。