君だけは離さない





「私……私っ……ここから出たいです。家に帰りたい!訳も分からずこんな場所に連れて来られてしまって……知らない場所にいるのは苦しい……怖いです。菊さん、私は一体どうしたらいいですか……」




美桜の叫びに胸が締め付けられる思いだった。彼女を助けてあげたい。でも許されない。例え美桜をここから出してあげる事が出来たとしても響がそれを許さない。
あれ程美桜に対して執着している響はきっとどんな手を使っても美桜を連れ戻して今よりも酷い閉じ込め方をしてしまいかねない。



そんな事になれば更に美桜は傷付いてしまう。





「私がおります。あなたにとって辛い事がないように……私がお守りしますから、どうか……どうか……この無力な年寄りをお許し下さい」

「菊さん、ごめんなさい……!菊さんは何も悪くないのに私は……」

「あなたは本当に可愛らしい人……。大丈夫です。約束します。あなたは必ず幸せになる」