紺野の姿が見れないまま、左頬に握った手を当てて声を張る。
「寂しいのっ…!紺野は私よりも本って感じがしてっ」
いつも。
本にすら負けてしまう自分が悲しかった。
素直に、さみしかった。
そして…不安、だった。
「…でもっ、紺野が本を読んでるのを見るのはすごく好きだし、紺野が楽しいときは私も楽しいしっ…!」
それでも、我慢できた。
だって、すごくすごく楽しそうに読書をしていたから。
私の大好きな君が、とてもとても楽しそうだったから。
大好きな君が楽しそうならそれでいいと思えてた。
でも、ね。
「でも私紺野に何も出来てない…!これじゃあ彼女失格じゃんかっ…!それに紺野は私とふたりっきりでも何もしてくれないし…っ!」
欲求不満とか、そんなのじゃない。
ただ好きと言ってくれれば、それで良かった。
「結局好きなのは私だけで…っ…私ばっか大好きなんだもんっ…!」
私ばかり、紺野が好き。
私ばかり、私ばかり。
私ばかり、君が好き。
「……っう゛ぅー…!」
でも、でもね、それでも私は
私は、やっぱり
「っう、う゛〜〜っっ…好き〜〜っっっ…」
好きだよ紺野。

