…紺野… 怒って、た。 すごく。 だって、大事な本を、棄てた。 「…っそうだ本…」 はっと気付いて、焼却炉の中に目を向ける。 見付けた二冊の本のタイトルは、 ――――あ、れ? 目を見開いた。 そして、次の瞬間に 私は、焼却炉の中に手を入れて、火の燃える熱さなんて気にせずに二冊の本を取り出した。 「熱っ…」 火傷したように痛む指なんて、もうどうだっていい。 だって、少し焦げた表紙。 そこに書かれているのは ―――ぽた、と、表紙に丸い染みができて、あとからあとから涙が零れた。