この、声。
振り返らなくても、わかる。
「暁?聞こえてんの?」
不思議そうに上ずった声は、彼が首を傾げていることを想像させる。
きっとその通りだ。
「…聞こえ、てる…。」
思ったよりもか細い声が出たことに驚いたのは、私。
こんなに小さな声しか出ないなんて、思わなかった。
それほど今の私は……緊張、している。
「…今日持ってきたけど…あと、昨日の。何だったの?」
少しだけ尖った声に、ギクッと心が反応する。
その姿を見るのが…なんだか、恐くて。
振り返らないまま、「知らない、」と答えた。
「は?…知らないわけないだろ?嘘つきって何?」
「っっ…!」
そんなの。そんなの。
「紺野が一番知ってるんじゃないの…っ!?」

