バサッと本が入ってる袋が手から滑り地面に落ちる。 ゆうちゃんからの電話はいつの間にか終わっていて 私はだらんと垂れた右手に握られた携帯に力を入れながら、茫然と 紺野と女性が入っていったマンションを見つめていた。 「…紺野……」 紺野、ねぇ、紺野。 君はいま、なにをしている?