「ねーアキお願い!」
「ぅおう…!何っ!」
「本屋!行ってきてほしいの!」
「え、」
ゆうちゃんが片手を口の前に持ってきて、勢い良く言ったことに、私はちょっと困惑。
本屋?
え、本屋??
「いいけど…」
「本当っ?ありがとっ」
「うん。全然いい」
ゆうちゃんのことだから、どっか遠い所とか、私に対して苛めたい所とか行かせるかと思ってた。
でも、どうして?
そう訊けば、ゆうちゃんはあー…と小さく声を洩らしながら口元を緩めた。
「欲しかった参考書と小説が予約してあるの。でも今日あたし外出れないから、アキに取りに行ってもらいたくて。」
ほう。流石受験生。
でも外なんて簡単に行けるだろって話だよね。結局は面倒臭いんだねゆうちゃん。
「なあに、暁ちゃん?」
「なっ…んでも、ないよ〜っ」
「そう?じゃあこれお願いね」
「あーい。」
予約引き換え券を渡されて、ゆうちゃんは「ありがとアキ」と笑顔を浮かべながら満足そうに部屋を出て行った。
…さてと、しょうがない。
どうせ暇だったし、行くところもなかったしね。
……紺野にも断られちゃった、し。
「…行こ。」
小さく溜息をもらして、私は外に飛びだした。

