「…ねーねーねー紺野。聞いてますか。」


「…。」


「ねーねーねー紺野さん。ねーねーねー」


「あー聞いてます聞いてます。」


「…。」



だったらその手にある本から目を離せコノヤロウ。



そう言いたいのをぐっと堪えて目の前にいる彼に向けて、また名前を呼ぶ。





「紺野」


「…。」


「……。」



何度呼んでも、返ってくるのは感情の籠もってない相槌。

ってかついに返事すら返ってこなくなったんですけど。


仮にも彼女と二人きりで自分の部屋にいるんだから、「お前が悪いんだからな、こんなとこで無防備に二人になるから」って襲うっていうことはないわけ?ねぇねぇねぇぇ。





「……。」





でも。結局、どうにもならないしなぁ。




小さく溜息をついて、ふかふかしてる枕に顔を埋める。


ああ、紺野の匂いがする。超いい匂い。男の子のくせに。