「…はぁぁ…」
思わず漏れてしまった重い溜息と同時に、机にずさーっと突っ伏す。
…馬鹿だよね、我ながら。
別に、本が嫌いなわけじゃないんだ。
もちろん、紺野が嫌いなんてこともあり得ない。天地が引っ繰り返ってもそれはない。
紺野は誰にも負けないくらいの本バカで、本に夢中になる紺野は好き。
その姿を見るのも、全然嫌いじゃない。むしろ好き。
でも。
…もう少し私を見てくれたって良いのにって思ってしまうのは、わがままかな。
少しだけで良いんだ。
紺野の楽しみを邪魔するつもりはないし、本を読むことを止めてなんて自分勝手なことを言おうとか思わない。
必要以上の贅沢は言わないから
少しだけで、良いの。
少しだけ、私を見てほしいだけなんだよ。
――紺野。

