「…ただいま戻りました」 「おお、郁、おかえり…」 博士は、私のことを イク と呼ぶ。 そのことに気付いていない。 妹の名前はきっと イク だったのであろう。 「どうだったんだい?名前は聞けたかい?」 「いいえ、あの方のお名前すらお聞きできませんでした」 「そうか……」 「あの、博士、お願いがあるのですが…」 「おお、なんだい?」 「私の―――………‥‥」