「なに?西田、あんた記憶喪失にでもなったの?」


「いやぁ。今日一日だけ、記憶喪失で~す」




これで誤魔化せるかと不安だったが、


「な~んだ。そうだったのか。なら、許してやるか!ね、福田」


「まぁ、今日のところは許してやるか」


───こいつら俺より馬鹿でよかった。


優人は心の底からそう思った。





どうやら西野とこの二人は家から学校まで近いらしい。


歩いて十分ってところに学校がある。


最初は寝ぼけてて歩いて学校に行くのにも抵抗はなかった。


だが、よくよく考えてみると中学校のときに自転車で行っていた自分を想像すると違和感を覚えた。


───まさに俺得じゃん。

───神様が寝坊しないようにって与えてくれたんだよ、きっと。



そう、楽観的に考える優人だった。