「俺の名前は佐原優人のはずだ」
自分で言うのも恥ずかしかったが、自分で自分を確認したかった。
とにかく自分の存在だけは確認したかった。
だが、今はこの名前を言っても信じてもらえないのは分かっている。
ただ流れに乗っていくしかない。
そう、優人が決心した時だった。
「翔、ほら学校行くぞ!」
そう言って、部屋に入ってきた訪問者は俺の手を引っ張って外へと連れ出した。
訪問者は俺より少し大きな体つきをしていた。
髪は黒髪で今風のワックスなどでつんつんに立てていた。
ルックスも良く、これで性格もよければ女子達から人気だろう。
……と急に来た人物だったが頼もしそうなやつだと勝手に思い込んだ優人だった。
