「まぁ、学習しないのは馬鹿だから仕方ないよ」


憂美は笑いながら答えた。


「馬鹿って言うな」


二階から下にいる二人に優人は叫ぶ。


「相変わらず、『馬鹿』って言葉には反応が早いよなぁ」


恭介と憂美は顔を見合わせて笑った。



しばらく二人で話していると、急に辺り一面が薄暗くなる。



恭介は空を見てから、二階に向かって、


「もう少ししたら雨がふってくるぞ、早く───」


こい。と言いそうになったところで優人が玄関の扉を開けた。



「きょうすけぇ~。朝早くから大声出すと近所迷惑だぞぉ~」


ふわぁ~とあくびをしながら優人は寝癖のついた髪を手でかいている。