「それで、俺と緒方は……それぞれ違う人物なんだ」 思い切って優人は話す。 「どういう意味だよ、それ」 「福田が分からないって言うのも無理はない。ただ冷静に聞いてくれ」 全員が固唾を呑んで優人の次の言葉を待つ。 「俺の、本当の名前は『佐原優人』で、そこにいる緒方も、『小林憂美』って名前だ」 優人は憂美を指さす。 憂美は自分の名前を呼ばれたとたん顔を下に向けた。