「行こっか。ほら時間も時間だしさ」 先に離したのは憂美だった。 優人は、ポケットから携帯を取り出す。 憂美の予想は当たっていた。 ディスプレイは“12:46”と表示していた。 「行こう」 優人は憂美の手をもって走り出す。 「うん」 もう片方の手で憂美は涙を拭った。 C棟とB棟に行くあいだは人はほとんどいなかった。