目の前にいるのは、紛れもなく『小林憂美』だった。 「憂美なのか?本当に……」 「やっと気づいたんだ。相変わらず鈍感だなぁ。あ、でも今は『緒方陽香』だけどね」 えへへ、と笑い顔を見せる。 姿、形は違う。 ただ嘘でもいい。 憂美が目の前にいる、それだけでよかった。 今度は優人が憂美を抱きしめる。