「佐原、聞いてるのか佐原!」
先生が注意を続ける中、優人はまだぼーっとしていた。
「ゆうちゃん、どうしたの?」
近くに座っていた、憂美が恭介の袖を引っ張る。
「あ、あれ?みんな座ってるじゃん。チャイム鳴ってたのか」
ようやく、優人が我に戻る。
「先生、ごめんよ」
優人が、謝る。
「いや、いいんだ。でもな佐原、いくら先生と離れるのが嫌だからって立って泣いてちゃだめだぞ。先生も泣いてしまうからな」
場の空気を一変するかのように、優人の先生は笑いながらクラスメイトに話した。
「なんだよ。ったく、謝った俺が馬鹿みたいじゃねえか」
ぶつぶつ言いながら、優人は自分の席に着いた。
